11月1日(日)、奈良市のボランティアインフォメーションセンターにおいて、奈良言友会主催「吃音セミナー2015 in 奈良 ~就労問題について考える~」が、国際吃音啓発の日(10月22日)の一環として開催されました。なお、この吃音セミナーは、奈良県共同募金会の助成により実施しました。
就職や就労で悩みを抱えている吃音当事者がたくさんいます。このような状況をふまえて、吃音のあるひとの就労の問題について参加の皆さんとともに考えようとの趣旨でパネルディスカッションを企画しました。このパネルディスカッションのパネリストには、就労している吃音当事者、企業で人事採用の実務にあたっている方、人材派遣会社で障害者の就労支援にあたっている方、発達支援センターで就労支援に当たっている方など、いろんな分野の方にお願いしました。
セミナーを開催するにあたり、大学やハローワーク、言語聴覚士のいる病院・施設、吃音のある保護者の方々、ことばの教室の先生方への案内を行いました。さらに、奈良県や市の役所、保健所へのポスターの掲示や、新聞への記事掲載も行いました。
その甲斐もあり、当日は24名と多くの方にご参加いただきました。参加者の内訳は、吃音当事者が9名、保護者5名、医療関係3名、教育関係3名、その他6名となりました。また、奈良言友会の会員8名およびボランティア3名が当日の運営として参加しています。
当日のセミナーは、第1部と第2部に分かれ、第1部はスピークアウトとして次の4人のパネリストに15分ずつ、それぞれ視点からお話をしていただきました。
吃音のために職場で辛い思いをした体験や、理解のある上司に出会ったことで仕事に前向きにとりくめるようになった体験を話していただきました。
吃音当事者であり、言友会で活動されながら、機械メーカーで人事・採用部門を担当されています。採用する立場からの吃音のある人への助言をいただきました。
民間の企業で障害者への就労支援を行われています。障害の認定が吃音者の就労の助けになるということを積極的に考えていこうという趣旨の話をしていただきました。
発達障害者支援の面から、就労の支援について話していただきました。
第1部を終えて休憩に入りましたが、その間に参加者にパネリストへの質問アンケートを実施しました。
第2部では、まず吃音のある人の就労の実態についての全言連の調査研究報告がされました。その後、休憩中に実施した質問アンケートをもとに、パネリストへの質疑応答が行われました。フロアからも活発な発言があり、多面的に意見交換が行われ、熱気あふれるセミナーとなりました。
参加者からのアンケートには、いろんな立場の意見を聞くことができて良かったとの意見が多かったです。また、このセミナーを今後の就活に生かしたいという当事者の意見や、吃音のある人が障害者手帳を取得できることを知った、当事者の生の声が聞けてよかったなど、多くの感想が寄せられました。
今回のセミナーを通して、この問題への理解を深め、吃音のあるひとの就労支援につなげていく契機になればと願います(奈良言友会会報「まほろば17号」より一部抜粋)。
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